
皆様こんにちは、ほーさんです。
今回は西原理恵子さんの『この世でいちばん大事な「カネ」の話』という書籍についてご紹介します。
西原理恵子さんといえば『毎日かあさん』でおなじみの漫画家さんですが、このようにエッセイも多数出版されています。
ほーさんも前回の記事で『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』という西原さんの著書をご紹介させて頂きました。
その記事はこちらになりますので、よろしければご覧下さいませ😌
タイトルにもデカデカと「カネ」と書かれている上に背景デザインが何と一万円札の表面というかなり奇抜な表紙になっております(装丁により、表紙のデザインは複数あります)。
内容もご想像の通りお金の話が中心です。
お金との付き合い方やお金を稼ぐこと、お金を持っていることの意味等が西原さんの実体験を交えて書かれているので、内容としては結構生々しいと感じました。
ですが、そこが良い。
お金というものは辛い現実と切っても切り離せないものなので、これくらいインパクトがあってあれだけ真実を間近に疑似体験できるくらいがちょうどいいのです。
貧しい生まれという西原さんが語るリアルなお金の話を最後まで是非ご覧下さい😎
それでは早速、行ってみましょう!
基本情報

この書籍の基本情報はこちらです。
- 『この世でいちばん大事な「カネ」の話』
- 著者 西原理恵子
- 出版社 理論社
- 出版年 2008年12月
- ページ数 234ページ
- サイズ 20cm
- 価格 1300円+税
- ジャンル エッセイ
- 読了時間目安 約70分
この本の特徴の1つが目次の各章のタイトルが西原さんの直筆である、ということです。
前回ご紹介した『女の子が〜』の目次の各章のタイトルも西原さんの直筆でしたが、本書では一章につき1ページ丸々使うくらいスペースを取って大きくタイトルが書かれていてとても迫力があります。
表紙のインパクトも圧倒的でしたが、目次の字もこちらに懸命に何かを訴えかけてくる感じが印象的でした。
アニメ銀魂の各回序盤に出てくる黒バックに白い筆文字のタイトルみたいな感じ、と言えば一番伝わりやすいかもしれませんね(本書は白バックに黒いペン文字ですが)。
「今から綺麗事抜きの現実の話をするよ!」と目次の時点で言われているようです。
また、各章の扉絵と最後のページに西原さんの挿絵を見ることができます。
この挿絵も迫力あるものが多かったですね😯
何と言いますか、眼力が凄い!
西原さんのイラストのタッチがそのまま本の内容のリアルさに沿っているようで、個人的には凄く好きです。
さてさて、ここまでで結構気圧されてきていますが、これからが本編ですよ😄
どんな本?

本書は全5章で構成されています。
本書の章タイトルですが、目次の字もインパクト抜群ですがその内容自体もインパクトが物凄いので、今回は章タイトルを一緒にご紹介します。
第一章は「どん底で息をし、どん底で眠っていた。『カネ』がないって、つまりはそういうことだった。」
どうでしょう、もう章のタイトルが名言みたいでしょう?
タイトルを読んだだけで「おおっ…🤔」と思わされるところがあります。
この章では西原さんの幼少時代の体験を中心に書かれています。
ここで簡単にご紹介すると、西原さんは高知県の漁師町出身です。
決して裕福とは言えない暮らしですが、西原さん曰く「本当にいい思い出しかない」そうです。
しかし、母親の再婚と引っ越しによりこの生活が一変します。
お金はないのは変わりないのですが、環境一つで悪い方向に劇的に変化してしまいます…。
本の始めからかなり殺伐とした内容が繰り広げられますが、この過去が西原さんの原動力になることが読み進めているとよく分かると思います。
第二章「自分で『カネ』を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。」

この章では、西原さんの高校時代から東京で絵描きとして働いていくまでを描いています。
西原さんはお金がない中母親に上京の費用を何とか工面してもらって地元高知を出ることができました。
この経済的背景、そして第一章で体験した悲しい過去を背負って東京に来たので、ここからしゃかりきに働いていくのですが、やはり崖っぷちに立たされた人間程強い。
もう戻れない、帰れないという上京で西原さんが目標を胸に自立の階段を上がっていく様子は必読です。
第三章「ギャンブル、為替、そして借金。『カネ』を失うことで見えてくるもの。」

この章では、西原さんが仕事の取材で麻雀やFXに挑戦した体験について書かれています。
取材といっても、麻雀やFXにかかった費用は全て西原さんの自腹です。
この中で銀玉親方という一癖も二癖もある人物が登場するのですが、西原さんにギャンブルに対する姿勢や心構えを豪快に教えています。
西原さん自身も凄く個性的な方ですが、この銀玉親方もかなり味濃い人でこの章を読んでいると豚骨ラーメンといきなりステーキを同時に食べるような感じになりました😅
とても読み応えのある章ですよ!
第四章「自分探しの迷路は、『カネ』という視点を持てば、ぶっちぎれる。」

早い話、自分探しという答えが一つではない、あるいは答えが見つからないものはお金という現実と向き合うことで強制的に解決できるのです。
解決というと語弊があるかもしれませんが、まあお金がないとなると四の五の言わずにとりあえず食い扶持を稼がねばならないから働くことになるわけで。
その過程で自分という人物像が見えてくる、そういう内容です。
働いて得るお金を通して自分と向き合うというなかなか考えさせられるものがある章となっております。
第五章「外に出て行くこと。『カネ』の向こう側へ行こうとすること。」

この章では西原さんがアジアの国々を旅して出会った子供達や目の当たりにした社会の現状を通して、お金を稼ぐこと、そこから現状を打破することの大切さを説いています。
第一章で西原さんの幼少時代が描かれていましたが、そこにこのような言葉があります。
「貧しさ」は連鎖する。
第五章ではそこから更に一歩進んでその連鎖を断ち切る方法を教えています。
こうやれば絶対貧乏から抜け出せる! という虎の巻のようなものではありませんが、この方法を知って実践することで初めて道が開けてくる、そんな希望のひかり、1本の蜘蛛の糸のような内容です。
このまま生きていても自分が苦しいどころか自分の子供、更には孫の代も同じような境遇で生きていくことになる。
そう悟った西原さん自身もこれまでの章で奮闘して負の連鎖を断ち切ったので、本書の集大成として非常に感慨深かったです。
スルメのようにゆっくり読んで味わいたいものです😌
ここを読んでほしい! ポイント4選
貧しさは連鎖する

「貧しさ」は連鎖する。それと一緒に埋められない「さびしさ」も連鎖していく。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
第一章で飛び出した言葉です。
貧しさは連鎖するという言葉は、他の書籍でもよく見かけるフレーズです。
少し立ち止まって考えてみると確かにそうですよね。
単純な話、お金がない親は子供に遺産を残すことができませんから。
遺産どころが借金を残すケースも十分にあり得る。
いつの時代も、高等教育はお金がないと受けられない上に就職先もそれなりの学歴がないと選択肢が著しく狭くなります。
子供にお金をかけられない=子供に十分な教育を受けさせられない=子供が高額な給料を貰える就職先に行ける可能性が低くなる=子供も大金を稼ぐ可能性が低くなる。
このような図式が成り立ちますので、やはり貧しさは連鎖すると言えるでしょう。
西原さんはこれに加えて「さびしさ」も連鎖すると述べています。
金銭的に貧しいと心も貧しくなりやすい、という言葉を耳にします。
それが西原さんの幼少期の引っ越し先で見た光景です。
職場で上司に理不尽に怒られ、その不満を配偶者にぶつける、そこで受けた怒りやイライラは子供に伝播し、子供もまた弟や妹、いじめられっ子に当たるようになる。
つまり、負の感情の行き先はどんどん自分より下の立場の人間に連鎖していくのです。
暴力という形を取らなくても、ギャンブルにハマったり酒に溺れたり、人は皆心の風邪を引いていると言えましょう。
そして、大金を稼ぐ方法を知らない親から大金を稼ぐ子供が生まれにくいように、心のさびしさを正しく埋める方法を知らない親に育てられた子供も間違った方法でさびしさを紛らわせるようになると思います。
親の影響を強く受けて子は育つのですから、必然的にそうなりますよね。
また、西原さんはこうも述べています。
人は将来に希望が見えなくなると、自分のことを大事にしてあげることさえできなくなってしまう。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
お金がないことに追い詰められると、人は人でなくなっていく。その人本来の自分ではいられなくなって、誰でもなく、自分で自分を崖っぷちまで追い詰めて、最後には命さえ落としてしまう事がある。
貧しさが、そうやってすべてを飲み込んでしまうことがある。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
ギャンブルや酒、煙草、暴力等に依存してしまうと、結局その代償は全部自分に返ってきます。
そうとは知らず、あるいはそうだと分かっていても目先の快楽を求めてしまうのが人間というもの。
何処かで断ち切らなければ苦境からは抜け出せません。
悲しいかな、この現状から根本的に抜け出す方法を見つけない限りは永遠にこの負のループは繰り返される。
親が死んでも自分が裕福になれるわけでもなく、自分が死んでも子供や孫が金持ちにも幸せにもなれるわけではない。
そういう意味では貧しさもさびしさも同じように続いてくのでしょう。
最下位による、最下位からの戦い方

目先の順位に目がくらんで、戦う相手をまちがえちゃあ、いけない。(中略)だとしたら肝心なのは、トップと自分の順位をくらべて卑屈になることじゃない。最下位なわたしの絵でも、使ってくれるところを探さなくっちゃ。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
第二章からの言葉です。
貧乏とさびしさの負の連鎖を断ち切る為に、西原さんは母親から家の財産の殆どを受け取って一念発起して美大に入る為に上京しました。
しかし、美大に入る為の予備校時代から西原さんは現実を突きつけられます。
廊下に貼り出された課題のデッサンの成績が何と最下位!
ですが、西原さんはそこでくじけませんでした。
何故なら、最下位であることに慣れていたから。
西原さん曰く小さい頃から運動も勉強もダメだったそうで、高知にいた時からそんなだった自分は東京に来ても当然最下位だったと。
そこで、自分なりの戦い方を見つけていくのです。
西原さんが最初に立てた目標は、「この東京で、絵を描いて食べていくこと」。
つまり、自分より才能がある他の生徒に勝つことではなかったのです。
才能があろうがなかろうが、自分がやりたい絵の仕事で給料を貰って生計を立てられればOKなので、人と比べる必要がないのですね。
目標が明確になったところで、次は戦略です。
西原さんは予備校生の頃から数々の出版社に売り込みをしていました。
最初からうまくいくわけでもなければ、失敗した数の方が圧倒的に多いのですが、それでも数撃ちゃ当たる戦法が功を奏して絵の仕事を貰えるようになっていったそうです。
バットでも毎日素振りをしていたら、最初は全然当たらなくてもそのうち掠るようになり、やがてそれなりの一打が出るようになるのと同じ理屈ですね😌
それから、西原さんは「絵のうまい人たちが絶対に行かないようなところ」に目をつけました。
それがアダルト本業界でした。
才能ある人達は、美術専門誌や大手広告会社といった華やかで格調高い場所を狙っている、ならばそうでない自分は正面から戦っても勝ち目のない人がいない場所で勝機を見出そうというわけです。
これが最下位による、最下位からの戦い方でしょうか。
ライバルが少ない所に行くという戦略には大いに賛同しました。
カラオケで例えるならば、1万人以上が歌っているメジャーな曲で全国1位を取るよりも数人しか歌わないマイナーな曲で1位を取るようなものです。
その方が遥かに簡単ですし、いずれにせよ「全国1位」には変わりない。
それから、西原さんは「差別化」に乗り出しました。
人と違うことをして工夫をして自分の仕事に個性を出すという戦法を取ったのです。
受けた仕事を言われた通りにやるだけではなくて、何か工夫をして他の人とひと味違いを出してみる。
その結果、受注先から凄く喜ばれた上に「カットマン(挿絵を描く人)として食べていけるよ」と太鼓判まで押してもらえることに!
そうして、西原さんは自分の絵を受け入れてくれる場所を見つけ、目標を叶えてく足がかりにすることができました。
そこで次の名言が出ます。
いい仕事をすれば、それがまた次の仕事につながって、その繰り返し。ときには自分でも意識的に方向転換しながら、とにかく足を止めないってことが大事。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
大人って、自分が働いて得た「カネ」で、ひとつひとつ「自由」を買っているんだと思う。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
ここが負の連鎖からの脱出の糸口と言えましょうか。
周りと同じことをしていても、結果は周りと大差ない。
人と違うことをすると、その結果は人と違ってくる。
ループを抜け出すにはその第一歩を踏み出す必要があります。
そこで得た金を徐々に膨らませていくことで、自分で好きなものを買う自由、好きな場所に住む自由、好きなことをする自由を一つずつ獲得していけるのです。
どんなに足掻いても成功しないこともある、しかし成功した人はすべからく全力で足掻いています。
お金と人間関係は腐れ縁

お金との接し方は、人との接し方に反映する。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
第三章の言葉です。
シンプルですが、これが深い。
金の切れ目が縁の切れ目という諺があるように、古代から金と人間関係は切っても切り離せないのです。
金が絡んだ時に人の本性が見える、それが顕著に現れる場面の一つがギャンブルでしょう。
ギャンブルに関して西原さんは次のように述べています。
ギャンブルっていうのは、授業料を払って、大人が負け方を学ぶものじゃないかな。その授業料が「高い」って思うんなら、やらないほうがいい。まして本気で儲けようだなんて思うほうが、まちがい。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
とにかく「危ないからやるな」というありがちな言葉ではありません。
ギャンブルというものは、形はどうであれ確実に得をするのは元締めだけです。
万馬券を掴んだりして一時的に勝つ人はいても勝時はそう長く続かないですし、大多数の参加者は負けっぱなしです。
つまり、ギャンブルというものは負けて当たり前なんですね。
これが分かっていない人が多いんだと思います。
大勝した人の幸せな姿だけ見て一発逆転を夢見て散っていくのが大半です。
負けた時の出方というものに人間性が出るというのがまた恐ろしいところ。
身銭を切っているのですから、自分自身を賭けの場に出しているとも言えるでしょう。
負けて当たり前のゲームに大金をつぎ込んでお金を取られているのですから、ここで怒ったり文句を言ったりする人は最初から手を出すなというわけです。
そして、そんなに人とは距離を置いたほうがいい。
ギャンブルでひと山当てようと目論むのは論外。
負けて当たり前のゲームの勝率などたかが知れていますし、仮に勝ったとしても大体もっと儲けようとするので、勝ち分を回収された上に結局勝った分以上に取られてしまう。
だから、ギャンブルに負けて怒ったり文句を言ったりしない、儲けようと思わない。
これができる人だけが賭けに出る資格があるのでしょう。
まあ、大多数の人がそれができないのでやはりギャンブルには手を出さない近づかない。
おまけに人間関係が破綻するリスクも考えると、コスパが良い金稼ぎ方法でもなさそうです。
折角貯めてきたお金もこんな形で消えてしまっては悲しいですよね。
くわばらくわばら。
奪われないこと、外に出ていくこと

貧乏人の子は、貧乏人になる。
泥棒の子は、泥棒になる。
こういう言葉を聞いて「なんてひどいことを言うんだろう」と思う人がいるかもしれない。でも、これは現実なのよ。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
第五章の言葉です。
第一章の「『貧しさ』は連鎖する」に繋がる言葉ですね。
貧乏から脱却するにはお金が必要ですが、そのお金を稼ぐ方法を知らない、お金を稼ぐ条件を揃えられない人もいます。
貧困は治らない病気とはよく言ったものです。
僅かなお金でその日暮らしをするだけでは、負の連鎖から抜け出せない。
何処かで爆発力が必要なのです。
動き出すと、そうやって考えをどんどん展開させることができる。自分から動いて、何かを知った人間は、そこから何かをはじめることができる。
西原理恵子『この世でいちばん大事な『カネ』の話』
希望を捨てるなと聞くと綺麗事に聞こえるかもしれません。
ですが、希望を捨てた人間に先がないのも事実です。
西原さんも貧しい地元から抜け出して、アルバイトの傍ら絵の売り込みを続けて、お金で少しずつ自由を獲得し、そして遂に絵で食べていけるようになった方です。
絵を色々な出版社に持ち込んで仕事を得たのは、正に自分で動いて自分の手で獲得したお金に他ならない。
創意工夫を凝らした仕事ぶりが次の仕事を呼び込んでいったのですから、その努力は言葉通り負の連鎖脱却への道を照らし出したと言えます。
それもこれも、原動力はお金がないということ、もう後戻りはできないという背水の陣にいたからでしょう。
崖っぷちに立たされていても、その場で座り込んだり自ら落ちたりせず、希望を持って自分で自分の人生を切り拓いていきたいものですね😄
こんな人にオススメ!
- 今の境遇に不満がある方
- これから社会に出る方
- 自分を奮い立たせたい方
「カネ」の話とタイトルにありますが、節約術や節税方法といった直接お金に関わる内容ではありません。
むしろ、下手な小手先のテクニックよりもずっと大事なことがこの1冊に込められています。
そもそもお金との向き合い方を間違ってしまうと、どれだけ節約しても税金を抑えようとしても効果がないどころか裏目に出てしまう可能性があります。
お金がないことの悲惨さ、稼ぐことの大切さ、貯めたお金との付き合い方と守り方、お金をバネにして人生を歩んでいく方法、こういったことが学べると思います。
お金が大事なのは分かったけれども、今後の人生どうすればいいか分からない方に向けた至極の書籍ではないでしょうか?
おわりに

今回は西原理恵子さんの「この世でいちばん大事な『カネ』の話」をご紹介致しました。
本書を読んでいると、明日も仕事頑張ろうという気持ちになりました。
ほーさん自身、年収200万円もないしがない単身フリーターなので、止まったら収入が途絶える状況です。
それでも、前へ前へ動き続けてこの年収が250万、300万と上がるようになればと思いながら今日もお金を稼ぎに行ってきます。
また次回の記事でお会い致しましょう。
それではっ!
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